2026/08/21
お刺身を食べていると、皮目だけが香ばしく炙られた魚を目にすることがあります。
鯛や金目鯛、カツオなど、魚によってさまざまな調理法がありますが、皮を残して仕立てる方法にはきちんとした理由があります。
魚は身だけでなく、皮や皮と身の間にも脂や旨みがあります。
ところが魚の種類によっては、皮が硬かったり、そのままでは噛み切りにくかったりするため、生の状態では食べづらいことがあります。
そこで使われる技法のひとつが「皮霜造り」です。
皮霜造りは、皮を付けたままの魚に熱湯をかけるなどして皮目に熱を入れ、その後すぐに冷やして仕上げる方法です。
代表的なのが鯛の皮霜造りで、「松皮造り」と呼ばれることもあります。
皮に熱を加えることで皮が食べやすくなり、皮と身の間にある旨みも一緒に味わうことができます。
一方、「焼霜造り」は皮目を直火などで炙って仕上げる方法です。
熱を加えるという点では似ていますが、焼霜造りでは表面を焼くため、皮の食感だけでなく香ばしい風味が加わるのが大きな特徴です。
魚の脂が熱によって溶け、皮目に焼き色が付くことで、生の刺身とはまた違った味わいになります。
特に脂のある魚では、皮目を軽く炙ることで香りが立ち、口に入れたときに脂の旨みを感じやすくなることがあります。
ただし、炙れば炙るほど美味しくなるわけではありません。
火を入れすぎれば身まで加熱され、刺身ならではの食感が失われてしまいます。皮にはしっかり熱を入れながら、身には必要以上に火を通さない。その加減も料理人の仕事のひとつです。
また、すべての魚を皮付きで食べるわけでもありません。
魚の種類、皮の厚さ、脂の乗り方、鮮度、どんな料理として提供するのかによって、皮を引くのか、湯をかけるのか、炙るのかを使い分けます。
刺身という料理は、一見すると魚を切っただけのシンプルな料理に見えます。
しかし実際には、魚の状態を見ながら、寝かせる、皮を引く、炙る、湯をかける、切り方を変えるなど、さまざまな技術が使われています。
次に皮付きのお刺身や炙りのお刺身を食べるときは、ぜひ皮目にも注目してみてください。
「なぜ皮を残したのか」「なぜ炙ったのか」を考えながら味わうと、一皿のお刺身がもっと面白く感じられるかもしれません!